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zoom RSS 読後雑感「富士覚醒」(石黒 耀)

<<   作成日時 : 2012/02/19 16:36   >>

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★物語の内容に触れている部分があります。★

石黒耀の災害シミュレーション小説第3弾。「昼は雲の柱」の題で刊行された小説に加筆解題したものとのこと。「昼は〜」はハードカバーで読んだことがある。

日本全体が壊滅的な被害を受ける前二作「死都日本」「震災列島」に比べると、シンボリックではあるが災害の規模としては格段に小さく、結末も、まあハッピーエンドといってよいもので、安心して富士山体崩壊のスペクタクルを楽しめる。(いや、これでも日本経済が受けるダメージは相当なものだと思うが)。

作中の著作「火山神伝説」は、「死都日本」から引き継がれた著者石黒氏の歴史観が詰め込まれており、今作ではやや冗長に感じるが、人類が火山の火よりも熱(温泉)の利用を先に覚えたのではないかとの仮説は興味深い。

★「富士覚醒」山体崩壊までの時系列メモ

●3月
・富士山で2001年以来の規模で低周波地震が頻発

●4月6日?(御殿場高校始業式)
・丹沢山地を震源とする地震。M4.8

●4月中旬
・足柄山地と丹沢山系の境界、JR御殿場線周辺でM3程度かそれ以下の小地震が続く。

●6月第1土曜日
・未明に御殿場の西で小さな横ずれ地震。御殿場中央高校周辺でやや強い揺れ。
・その後、富士山の地下12キロ付近で低周波地震が頻発し始める。
・気象庁「火山の状況に関する解説情報」発表。富士山噴火警戒レベル1(平常)
・宮崎県高千穂峰火山の地下でも低周波地震

●6月第1日曜日
・富士山地下の低周波地震、回数が若干減少。
・震源の深さは次第に浅くなり、10キロより浅いものが混ざり始める。
・重力計にわずかに反応(誤差の範囲内)。
・北東と南東のGPSがここまでの1か月で1センチ弱、山頂から離れる方向に移動
・気象庁「解説情報(マグマが上昇しているものと考えられるので、今後の動向に注意が必要)」を発表

●6月25日(平日)快晴
[夕方]
・富士山方向から大きな地鳴り。富士山頂に「瑞光」。
・東駿河大学屋上のイオン濃度測定装置の陽イオン濃度が急増。
・この後、富士山地下で不気味な地鳴りを伴う有感・無感の地震が頻発。低周波地震も継続。
・いずれも震源が上昇。重力値も変化。わずかながら山体の膨張が観測される。
・気象庁 火口周辺警報発表。噴火警戒レベル2(火口周辺規制)
・富士山周辺の地方公共団体 第一次ゾーン(山頂および山腹の火口分布域)内の住民に避難準備を呼びかけ

●6月26日
[日中]
・御殿場市、富士山が通常型噴火を起こした場合の対応について、防衛庁と折衝を継続
[午後10時過ぎ]
・御殿場で震度5弱。M4.7。震源の深さは5キロ
・傾斜計の動きが加速。気象庁「もはや噴火は避けられない」との意見が支配的に。

●6月27日
・朝までに御殿場で震度2から3の余震が数回
[朝]
・富士山北西山腹斜面から白い噴気を観測
・気象庁、東北大学アジア研究センターが試作した火山観測ロボットMOVEIIIにより噴気を採取。分析結果より水蒸気が主体であることが判明。
・リアルタイムGPS、ALOS2(だいち2号)のLバンド合成開口レーダー観測により山頂を中心とした隆起を確認。
・水平方向でも富士山は北西―南東方向が2センチ短縮、北東―南西方向が3センチ膨張。山頂を中心に4か所に設置された重力計、傾斜計は、すべて同程度の変異。
・火山噴火予知連絡会富士山部会「山頂か山頂付近からの、かなり大規模な噴火が発生する危険が高まった」と発表。
・気象庁、火口周辺警報発表。噴火警戒レベル3(入山規制)
・第一次ゾーンに避難勧告、第二次ゾーン(火砕流到達域、火山弾多数到達域)に避難準備・観光自粛・帰宅呼びかけ

●6月28日
・山頂で二か所の小噴気、MOVEIIIの観測により水蒸気と確認。
・山頂がさらに隆起
・御殿場市と防衛庁、臨時演習名目で陸上自衛隊富士学校に災害派遣要員・資材準備で合意。
・陸上自衛隊、気象庁の要請により74式戦車の暗視スコープで富士山周囲3方向から新たな熱源出現有無を夜間監視。
・静岡県教育委員会、御殿場市内の公立高校の臨時休校を決定。

●6月29日
・陸上自衛隊、東富士演習場で災害出動訓練開始。

●6月30日 雨
・富士山周辺で地鳴りと小地震続く。
・傾斜計とGPSによる地殻変動観測ネットワーク、山頂を中心とした均等な隆起が顕著になっていることを示唆。
・リアルタイム地震波トモグラフィー、低密度・低弾性の物体が地表に近づいていることを示唆
・御殿場南部のミネラルウォーター工場の原料水に基準を超す硫黄分を観測。

●7月1日
[早朝〜午前]小雨
・未明から地鳴りを伴う震源の浅い地震が頻発。M5クラスが2回。御殿場で震度5強を記録。
・リアルタイムGPS、山頂の急速な膨張を観測。
・気象庁、噴火警報を発表。噴火警戒レベル4(避難準備)
・周辺自治体、第二次ゾーンまでに避難勧告。
・全国の浅間神社で鎮火祈祷
[午後]晴れ 南南西の風
・富士山頂の雪が消えているのが観測される。
[午後2時]
・航空自衛隊百里基地のRF4偵察機、赤外線観測により山頂北縁付近で温度上昇を確認。
[午後3時51分]
・M3.1の地震。直後に山頂で地下帯水層の水蒸気爆発発生。空震が東京都内にも到達。
・4回目の爆発による空震で、周辺自治体では窓ガラスが割れる被害。
・雪が残った9合目に到達した噴石により火山泥流(ラハール)発生。
・その後も爆発が継続。周辺自治体でスコリアを観測。東京都内で公共交通が混乱。
[午後6時ころ](爆発的噴火の発生から2時間程度)
・富士山でストロンボリ式噴火開始。
・西の風。御殿場市内で「ペレの髪」観測。

●7月2日
・ストロンボリ式噴火が継続。有感地震は減少。
・火口縁にアグルチネートが堆積、北壁高さが剣ヶ峰(3776m)並みに。
[正午前]
・北斜面(山梨県側)のアグルチネート末端(9合目付近)から根無し溶岩流、落屑型火砕流発生。森林帯に到達。
・この後、落屑型火砕流は北斜面を中心に全方位で発生。
・根無し溶岩流が8か所で発生。
[午後4時過ぎ]
・銀明水から南斜面に溶岩流が流出。
・東駿河大学で溶岩流到達予測を開始。
[午後6時]
・陸上自衛隊、溶岩流堰堤準備のため富士市方面に出動。
・溶岩流、標高1400m付近に到達。
・山体膨張がわずかに縮小に転じる。

●7月3日
・ストロンボリ式のマグマ噴出が見られなくなる。
・富士山標高が3791m(レーダーによる測量値)となる(噴火前+15m)。

●7月4日
[午前]
・御殿場で地鳴りを伴う有感地震
[午後]
・御殿場で地鳴りを伴う有感地震(2回目)
[午後7時半頃?]
・東京湾北部を震源とする地震。M6.4。江東区で最大震度6弱、死者17人。
(2005年6月にM4、震度3の地震が5回連続した震源域に隣接)
[深夜]
・イギリス、ドイツ、スイスの大手再保険会社が東京の再保険料率を切り上げ。

●7月5日 雨
・富士山を震源とする有感地震が増加。震源は上昇。
・気象庁、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に再度引き上げ
・静岡県教育委員会、御殿場市内の公立高校の休校を継続
・東京証券取引所、売り注文が殺到し大半の銘柄がストップ安。来年度東京で開催予定の国際スポーツ大会がキャンセル。

●7月6日 雨のち晴れ
・時折有感地震が発生。

●7月7日
・震源が急激に上昇。ただし前回噴火より大きな地震は少ない。
・4つの傾斜計、火口向きにほとんど同じ傾斜を示す。(山頂噴火を示唆)
・リアルタイムGPS、山頂隆起を捕捉。
・気象庁、噴火警報を発表。噴火警戒レベル4(避難準備)
[昼頃]
・御殿場市内でツバメが見られなくなる。
・東京株式市場の株式値下がり続く。
[夕方]
・御殿場で震度6弱、小田原で震度5強。震源は御殿場市北西部、M6.5
・東富士演習場のドップラー・レーダーが複数個所で火砕流と思われる動体の接近を感知。
[午後9時前]
・陸自富士学校の74式戦車の暗視スコープ観測により、火砕流ではなく土砂崩れと確認。
・ヘリ観測により火口東縁が崩落し、溶岩流が流出していることを確認。
[夜間]
・東駿河大学理学部地球惑星科学科山野研究室、溶岩流が御殿場市街南西部に接近と予測。
・御殿場市、溶岩流通過予想エリアに避難勧告
・陸上自衛隊、富士市キャンプを撤収、東富士演習場に溶岩堰堤建設開始。

●7月8日 霧
[昼過ぎ]
・御殿場市で有感地震。4分後に再度、同様の地震。震源は富士山東山腹地下、ごく浅く。
・地震が散発的に発生。
・山体西部の隆起が減り、東部の隆起が目立ち始める。
・気象庁、再度、噴火警報。7合目付近からの噴火を想定。噴火警戒レベル4(避難準備)を継続。
・衛星データにより、東山腹7〜8合目の膨張を補足。
・東駿河大学山野研究室、火砕流と岩屑雪崩の発生と、御殿場市、小山町への到達を予測、御殿場市に警告。
・富士山東斜面7合目付近から噴気
・ラジオ駿河が、御殿場市と小山町の全住民に避難を呼び掛け。山中湖以北、裾野以南、大井松田以東、または箱根山上を推奨。
・富成建設が東名高速道路裾野インター以北の上り線、大井松田インター以西の下り線を封鎖。
・気象庁、緊急噴火情報を発表。噴火警戒レベル5。
・静岡県知事、御殿場市と小山町、黄瀬川流域住民に避難命令。酒匂川流域住民への避難勧告を神奈川県知事に要請。自衛隊、米軍に災害出動を要請。
・気象庁、駿河湾沿岸と相模湾沿岸に津波警報を発表。
・株式が暴落、ストップ安が続出。
・富士山東斜面7合目で水蒸気爆発が発生。以後、連続的に発生。火山弾が4合目付近まで到達。
・富士山東斜面で厚さ300m、幅2キロメートル程度の岩屑雪崩が発生。直後に火砕流発生。
・7合目付近で始まった山体崩壊が山頂部に到達し、東西の火口壁まで崩落。富士山頂が双峰形となる。
[火砕流発生から14分]
・火砕流が箱根山麓に到達。
[火砕流発生から19分]
・岩屑雪崩の先端が箱根山麓に到達。
・黄瀬川、酒匂川に熱泥流が流入、1m程度の津波が発生。

★作中の地名など
・御殿場中央高校・・・実際の御殿場南高校あたりか。
・東駿河大学・・・ヤクルト本社付近か。大学は存在しない。
・冨智神社・・・国道469号線沿い、自衛隊東富士演習場内。神社は存在しない。名所旧跡「大塚」の付近か。
・富士山ランド(予定地)・・富士スカイライン沿い、標高1200m付近。自衛隊東富士演習場内。

★物語の舞台(御殿場市周辺)


★関連リンク
・ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
・ある火山学者のひとりごとhttp://www.arukazan.jp/bbs/
・早川由紀夫研究室http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/



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