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zoom RSS 冥王星の大きさ〜宇宙戦艦ヤマトが旅する世界

<<   作成日時 : 2012/02/23 01:04   >>

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「宇宙戦艦ヤマト」では、冥王星は第7話、第8話の舞台となった。そのころ読んだ宇宙の図鑑の中には、冥王星の大きさは地球よりやや大きいと書かれていたものがあったと記憶している。最新の情報では、冥王星は約2300qで地球の約5分の1、質量は500分の1で、月よりもさらに小さい。

↓前列左から月、冥王星、カロン。(拙サイトより。http://www.geocities.co.jp/masapavilion3/planet/9planets.htm
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 別冊日経サイエンス97「ボイジャー最後の旅」(1990年11月20日発行)は、ボイジャー2号の天王星、海王星探査に関する本誌記事をまとめたものだが、別冊として刊行するにあたり、外惑星の話の区切りとして、「冥王星と巨大衛星シャロン」(原題"Pluto"1990年8月号)を収録している。この記事に、冥王星のサイズ見積もりの経過に関する面白いグラフが掲載されている。

↓別冊日経サイエンス「ボイジャー最後の旅」P77より
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 冥王星は、天王星や海王星の軌道を乱す原因天体として探索された。火星の「運河」を観測したことで有名なパーシバル・ローウェルは、この9番目の惑星の質量を地球の約10倍と算出していたという。しかし、発見された冥王星の明るさから、まず地球と同程度に下方修正され、天王星、海王星の軌道決定精度の向上により、さらに10分の1に下方修正される。1970年代半ばには、冥王星表面が反射率の高い氷でおおわれていることが判明してさらに下方修正され(反射率が高ければ実際より大きく見える)、1978年に衛星シャロン(カロン)が発見されると、食の観測により、またも下方修正され、ほぼ現在の値となった。

 「宇宙戦艦ヤマト」は1974年10月から1975年3月にかけて放映されたものであり、企画は1973年に始まったというが、前述の記事からすると、このころの最新の知見では、冥王星のサイズは地球の半分程度と考えられていたようだ。普及書の記載は、もっと遅れていた(したがって大きめに書かれていた)かもしれない。

 さらに、1992年以降、冥王星の軌道を含む太陽系外縁に、冥王星よりも大きなものも含めて同様の天体が次々に見つかったことで、2006年8月には国際天文学連合が惑星の定義の見直しを行い、冥王星は「準惑星」と定義しなおされた。同年9月には、冥王星に小惑星番号134340が割り振られた。

※別記事の「冥王星儀」の飾り台には、あえて小惑星番号を伏してある。小惑星134340プルートーである。
http://masamich.at.webry.info/201201/article_5.html

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 冥王星地表の様子は、ハッブル宇宙望遠鏡による観測などにより、地表の明暗や色合いくらいはわかってきている。学研の最新科学論シリーズ10「最新太陽系論」(1990年7月1日発行)には、当時打ち上げ直前だったハッブル宇宙望遠鏡により、「地球から肉眼で見た月とほとんど変わらないくらいに」冥王星の姿をはっきりとらえられると書かれている。2012年2月現在、目にすることができる冥王星の表面図は、「ほとんど」と言われれば、まあそんなもんかというレベルに過ぎない(「だいたいが付けばカラスも白い」と言うが)。ヤマトが訪れたその他の惑星の様子が、ボイジャーをはじめとした惑星探査機の観測により劇的に塗り替えられたのに比べれば、少なくともディティールという点では、空想の余地が残されていると言えるかもしれない。

ハッブル宇宙望遠鏡による冥王星地表図(2010年 ハッブル・サイトより)
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 はじめての冥王星探査機となるニューホライズンズは、2006年1月に打ち上げられ、2011年3月に天王星軌道を通過した。2012年2月10日には、冥王星まで10天文単位を切った。海王星軌道の通過が2014年8月、翌2015年2月から冥王星の観測を開始し、同7月に通過する予定。順調にいけば、そのときはじめて、私たちは冥王星の鮮明な姿を目にすることができるわけだが、この春から順次上映の「宇宙戦艦ヤマト2199」には、当然間に合わない。

 「2001年宇宙の旅」を書いたA.C.クラークは、ボイジャーの探査成果をベースに「2010年宇宙の旅」を描いた。「宇宙大帝ゴッドシグマ」(1980-1981)の主題歌にイオが歌いこまれているのも、ボイジャーの成果があってこそだろう。もし「ヤマト2199」の前に冥王星近接観測が実現していたら、いまのぼんやりした地表図からは想像もつかないようなエピソードが(あるいは、たった3年で陳腐化しないエピソードが)展開していたかもしれないと思うと、残念だ。

 冥王星の地表の様子については、ナショナルジオグラフィックチャンネルで放映さえれた「冥王星ツアー」で描かれた動画が、最近の知見にかなり忠実と思われ、印象的だった。冥王星の発見者であるクライド・トンボー(1906 - 1997)のインタビューも、ちらっと見られて興味深かった。

ニューホライズンの探査想像図に描かれた冥王星(ジョンズホプキンス大学ミッションサイトより)
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 作中には冥王星の「月」が登場するが(ロケットアンカーを打ち込むシーンを覚えている)、カロンの発見が1978年なので、あくまで想像上の天体である。スケール感から言って、球体をなすほどの天体にアンカーを打ち込んで停泊するのはいくらなんでもデフォルメが過ぎると、当時子供心に思ったのだが、これはカロン(直径1200キロあまり)に置き換えても同じことだろう。2005年に発見された衛星ニクス、ヒュドラは直径100キロ前後、さらに2011年に発見されたS/2011 P4は10キロ程度と見積もられている。P4くらいなら、なんとか納得できるサイズである。

1998年発表のカロンの4面図(Vies of Solor systemより)
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◎参考サイト
○宇宙戦艦ヤマト
・ウィキペディア日本語版
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%88%A6%E8%89%A6%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%88

○冥王星
・ウィキペディア日本語版
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%A5%E7%8E%8B%E6%98%9F
・同 英語版
 http://en.wikipedia.org/wiki/Pluto
・Hubble Site
New Hubble Maps of Pluto Show Surface Changes http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2010/06/image/e/
・JPLフォトジャーナル http://photojournal.jpl.nasa.gov/
 冥王星 http://photojournal.jpl.nasa.gov/targetFamily/Pluto
・Views of Solor system http://www.solarviews.com/
 Dwarf Planet Pluto http://www.solarviews.com/eng/pluto.htm
・Nine Planets http://nineplanets.org/
 Pluto http://nineplanets.org/pluto.html
・ナショナルジオグラフィックチャンネル http://www.ngcjapan.com/tv/
 冥王星ツアー http://www.ngcjapan.com/tv/lineup/prgmepisode/index/prgm_cd/566
 http://natgeotv.com/asia/a-travelers-guide-to-the-planets/videos/atravelersguidetotheplanets_plutobeyond_viral
・「冥王星の赤道半径を年度ごとに調べてみよう」岡山理科大学図書館(※PDF形式)
http://www.lib.ous.ac.jp/pluto.pdf

○カロン
・Views of Solor system
地表図 http://www.solarviews.com/cap/pluto/charon.htm

○ニューホライズンズ
・ウィキペディア日本語版 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BA

%E3%83%B3%E3%82%BA
・同 英語版 http://en.wikipedia.org/wiki/New_Horizons
・ジョンズホプキンス大学 http://pluto.jhuapl.edu/
・月探査情報ステーション
 世界の惑星探査 ニューホライゾンズhttp://moonstation.jp/ja/pex_world/NewHorizons/index.html

○その他
・ナショナルジオグラフィック日本語公式 http://www.nationalgeographic.co.jp/
・アストロアーツ http://www.astroarts.co.jp/index-j.html
・手前味噌ですが・・MASA Pavilion3 惑星への旅 http://www.geocities.co.jp/masapavilion3/planet/index.html#top

最終更新 2012/03/17

Keywords: "Star blazers", Pluto

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