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zoom RSS 太陽系から大マゼラン雲へ〜宇宙戦艦ヤマトが旅する世界

<<   作成日時 : 2012/02/25 20:24   >>

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※この記事は「宇宙戦艦ヤマト」での経路について整理したものです。「宇宙戦艦ヤマト2199」での経路は別記事(http://masamich.at.webry.info/201212/article_3.html)にまとめました。

※別記事「大マゼラン雲までの距離」(http://masamich.at.webry.info/201202/article_2.html)、大マゼラン雲の一般事項については「大マゼラン雲 Large Magellanic Cloud」(http://masamich.at.webry.info/201203/article_3.html)も参照。

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「宇宙戦艦ヤマト」は地球を2199年10月6日(火)に出発し、火星、木星(「浮遊大陸」)、土星(タイタン)、冥王星、「アステロイドベルト」(第10惑星のなれの果て)、「オリオン座三ツ星のアルファ星」(ベテルギウスとは言っていない)、「オクトパス星団」(架空の星団)などを経て、大マゼラン雲へ向かう。ここで、作中に登場する天体の実際の位置を調べてみる。

 なお、作中に登場する航路図の略図は、図0のとおり。回によって微妙に異なるが、太陽系からイスカンダルまでは一直線の行程として描かれているのは共通している。

図0 作中に登場する航路図
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○太陽系 
 2199年10月6日の惑星の配置は、図1、図2のとおり。国立天文台の宇宙ビューワー「Mitaka」を使った。視点はほぼ黄道北極上にあり、太陽系を「真上」から見下ろしている。地球の春分点(赤経0時)を右方向にとっており、惑星の公転は反時計回りである。図中に、ヤマトがたどった経路を緑色で表示した。

図1 木星より内側の領域
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図2 木星より外側の領域
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 太陽に近い順に惑星を訪れて恒星間宇宙に出ていくというのは、一見ごく自然な行為に思えるが、実際の配置を考えると必ずしもそうではないのがよくわかる。

 冥王星のあとに訪れるアステロイドベルトは「10番惑星の成れの果て」とされており、今リメイクするならエッジワース・カイパーベルトと言っておくのがもっともらしいだろう。そういえば、初代ヤマト放映当時は、小惑星帯の成因として、単一の惑星が破壊されたものという説もそれなりに説得力があった時代である。現在では、微惑星が木星の影響により成長しきれなかったものとの見方の方が妥当とされている。いずれにしろ太陽系外縁からオリオン座の「三ツ星のアルファ星」へ向かう。オリオン座は、赤経5時20分方向、図1,2では上方向である。

○オリオン座の三ツ星のアルファ星
 「オリオン座のα星」はベテルギウス(赤経5時55分、赤緯+7度24分)だが、作中では「三ツ星のアルファ星」であり微妙に言い回しが異なる。オリオン座の三ツ星は、帯の部分にあるが、「アルファ星」というのがこの中で一番明るい星ということだと、真ん中のε星(アルニラム、1.7等、赤経5時36分、赤緯-1度12分)ということになる。もっとも、作中では赤い星として描かれているので、やはりベテルギウスなのかもしれない。

 図3は、図1、図2と同様、視点は黄道北極上にあり、オリオン座の星々が視野に入る距離から太陽を見下ろしている。ベテルギウスであれアルニラムであれ、大まかには図の上方(6時)方向、かつ黄道面よりやや南寄り(図の奥行き方向)に位置する。地球からの距離は、ベテルギウスが640光年、リゲル(β星)までが773光年、ε星までは1342光年である。ここでは、「アルファ星」がベテルギウスとして、太陽系からの航路を示した。

 なお、銀河系の中心は、赤経17時45分、赤緯-29度にあるいて座A*(エースター)の方向であり、太陽系から見るとオリオン座とはほぼ反対方向である。

図3 オリオン座まで
(1)黄道北極方向から
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○大マゼラン雲まで

 大マゼラン雲は、図3の航路の延長線上にはない。赤経5時23分、赤緯-69度44分で、太陽系との関係では、黄道南極に近い。つまり黄道面=地球の公転軌道面とほぼ直角方向で、図1〜4では、奥行き方向にあたる。オリオン座までの行程は、黄道面から十数度しか離れていないので、大マゼラン雲に少しも近づいていないことになる。すでにここまでのルートは、作中の航路図に出てくるような単純な直線形ではない。

 大マゼラン雲までの距離は、現在は14万8千光年ではなく15万7千光年と見積もられている。作中の航路図では、イスカンダルは大マゼラン雲本体よりかなり手前に描かれているので、14万8千光年というのが大マゼラン雲の重心ではなく、イスカンダルまでということなら、まあ整合はとれるかもしれない。

 「オクトパス星団」の、現実の宇宙での位置は明確でないが、作中ので島は、図0のルート上、銀河円盤の縁近くを指しているので、オリオン座からは、かなり大マゼラン雲よりに進んだ位置にあるはずである。

図4 黄道北極から見た太陽系と大マゼラン雲(銀河系は半透明表示)
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図5 黄道面と平行に見た銀河系と大マゼラン雲の位置関係(図4の下→上方向を見ている) 
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 そもそも、大マゼラン雲が黄道南極の方向にあるということは、地球からイスカンダルへ最短ルートをたどるのであれば、太陽系内の惑星には寄らず、最初から黄道面とは直角に進路をとったほうがよい。ガミラスから地球への侵攻も同様で、わざわざ外惑星に拠点を設ける必然性がない。もっとも、私たちに最も身近な天体である太陽系の各惑星に立ち寄るエピソードがなければ、「ヤマト」はずいぶんつまらない話になっていただろう。

図6 図1とほぼ同じ範囲に大マゼラン雲の位置を注記したもの。
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○銀河座標での表示

 ここまでのルートを、銀河座標で表示してみる。

図7 オリオン座まで
(1)銀河北極方向から
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(2)銀河中心(銀経0時)方向を望む
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(3)銀経18時方向を望む
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図8 大マゼラン雲まで
(1)銀河北極方向から
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(2)銀河中心(銀経0時)方向を望む
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(3)銀経18時方向を望む
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 なぜ「宇宙戦艦ヤマト」の経路が現実の宇宙でこれほど遠回りになるのかは、初期設定資料に原因があるのかもしれない。資料では、大マゼラン雲は地球から見ると銀河中心の右側、オリオン座の下側に見えるとされている(http://homepage1.nifty.com/akk-yihitk/gennzu2.htm)。この資料では、ヤマトは大マゼラン雲までのほぼ最短ルートを通ることになっている。このような位置関係の認識は、円筒図法の星図が原因なのかもしれない。円筒図法の星図では、確かに銀河中心は大マゼラン雲の左手に、オリオン座はやや上方に描かれている。これは世界地図上では、日本がアルゼンチンの左手にあり、ブラジルが上方にあるのと同じことで、投影図法のトリックである。

○作中の航路図の再現

 最後に、作中の航路図に近いアングルで、銀河系と大小マゼラン雲をMitakaで表示させてみた。オリオン座までの経路は、このスケールでは微々たるものなので、銀河系内での寄り道も誤差の範囲といったところか。

 前述の初期設定資料には、銀河の外から見た大マゼラン雲までの経路図もあり、銀河中心を斜め左に見ながら、銀河円盤に対して伏角20〜30度くらいで進むルートとなっている。(http://homepage1.nifty.com/akk-yihitk/gennzu4.htm)。

図9 図0に近いアングルで描いた銀河系と大マゼラン雲の位置関係 
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■2014/06/10追記
 この記事は実際の3次元空間における移動経路の考察ですが、ヤマトの旅に見立てて天球上の天体を順に観望するコースを検討したサイトがありました。

宇宙戦艦ヤマトの旅を考える
http://homepage1.nifty.com/fehi/skyatlas/yamato1.html

 劇中のヤマトのコースはあっちへ行ったりこっちへ行ったりですが、上記ページのコースは実際の視野から考えているだけあって、ちゃんと同方向でつながっています。「解説」を読むとわかりますが、天球面上だけでなく、距離的にもきちんと遠くなっているのに感心させられます。




◎参考サイト
○ヤマト航路図
・ブラックゼロの趣味のホームページの残骸w http://www.geocities.jp/algo_star/index2.html
 シミュレーターによるヤマト航路図(太陽系内のみ)http://www.geocities.jp/algo_star/ya04.html
・「宇宙戦艦ヤマト」ひみつ基地http://www.yamato2199.com/index.html
 ヤマト大宇宙図http://www.yamato2199.com/yamato/space/space.html
・宇宙戦艦ヤマトファンクラブ(N.W.A.)&ヤマトパーティ(公認ページ)http://homepage1.nifty.com/akk-yihitk/
 大航路図 原図http://homepage1.nifty.com/akk-yihitk/y.ranndo2.htm

○「ヤマト」行程
・日日に森の下つゆhttp://www.asahi-net.or.jp/~su2n-ni/index.htm
 宇宙戦艦ヤマト航海日程表(実績)http://www.asahi-net.or.jp/~su2n-ni/suki/yamato/schedule.htm
・はいじまゆきどっとこむhttp://haijima-yuki.com/index.htm
 「あにめの記憶」1「宇宙戦艦ヤマト」(初代テレビシリーズ)http://haijima-yuki.com/old_anime/yamato/yamato_gaiyou_1.htm
・YAMATO's WORLD http://www.b-b.ne.jp/yamato/index.html
 航海班 http://www.b-b.ne.jp/yamato/page/03_kokai_top.html

○4次元デジタル宇宙ビューワー "Mitaka"(ミタカ)
・4D2U Project Website (国立天文台)http://4d2u.nao.ac.jp/t/index.php
 「Mitaka」http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/

○オリオン座
・ウィキペディア日本語版 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%BA%A7

○このサイトの関連記事
・大マゼラン雲 http://masamich.at.webry.info/201203/article_3.html
・大マゼラン雲までの距離 http://masamich.at.webry.info/201202/article_2.html

最終更新 2013/07/30

key words :"Star Blazers", "From the Earth to the Large Magellanic Cloud"



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