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zoom RSS ワーローンの軌道〜「星の光、いまは遠く」

<<   作成日時 : 2012/08/15 00:39   >>

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 ワーローン(Worlorn)は、マーティン(George R. R. Martin)の小説「星の光、いまは遠く」(Dying of the light、酒井昭伸 訳)の舞台となる浮遊惑星である。宇宙塵/暗黒ガス雲からなる「誘惑者のヴェール」と銀河系外宇宙(大黒海)の間に広がる「辺境星域」(フリンジ)にある。発見から少なくとも千年間は、どこの恒星にも属さず放浪していたが、やがて赤色超巨星と6つの中型黄色恒星から成る「炎の車輪」の近傍を通過することが明らかとなり、「フリンジ」に属する各人類惑星が上陸し、「フリンジ・フェスティバル」が開催されることとなる。

 ワーローンの軌道運動に関する作中の記述は、以下のようなものである。
1)ai446年、かつてワーローンは「炎の車輪」の星系内にこそ入らなかったものの、大きな双曲線を描いてそのごく近くを通過したことが明らかとなった。
2)その軌道において、ワーローンが太陽光を浴びていた期間は50標準年。
3)それを過ぎると同惑星は「大黒海」すなわち銀河間宇宙へと旅立ってゆく。
4)ふたたび「炎の車輪」に接近するにつれて、ワーローンでは一世紀にわたり、氷の融解、火山活動、地震の活発化、気温の上昇に伴う嵐が吹き荒れた。フリンジの各惑星は一致協力して環境改造により立ち向かった。その後、各地に都市が建設された。
5)ai589年のフェスティバル開催時点で、赤色超巨星「車軸」(または「肥えたサタン」)はワーローンの空4分の1を覆っていた。
6)それから5年かかってワーローンは近日点に接近し、また5年かかって「車輪」の光が弱くなる距離にまで離れ去った。
7)ai599年、フェスティバル終了
8)フェスティバルから約10年後(近日点通過から約15年後)、物語の時点で「車軸」はアヴァロンの太陽より少し大きいくらいにまで遠ざかっている。(別記事では、アヴァロンの太陽は地球の太陽と同等の視直径と仮定した)


◎ワーローンの経路
上記の1)からワーローンの軌道が双曲線形で、3)では星系内に入らなかったとしているので、ワーローンは基本的に「炎の車輪」星系に拘束されていないようだ。にもかかわらず、今回再び接近することになったのは、物語には記載されていない別の天体とのニアミスにより、偶然にも「車輪」に接近する軌道をとったのかもしれない。次回、同様の偶然がなければ、3)のとおり、やがては銀河間宇宙へ彷徨いだしていくことになる。


◎ワーローンの速度

 一回きりの接近ということであれば、ワーローンは近日点付近で、「車輪」に対する脱出速度に達している必要がある。万有引力定数をG、「車輪」の質量をM、ワーローンの近日点距離をRとすると、脱出速度v=√(2GM/R)となる。

「車軸」の質量は別記事から太陽質量の10倍、「六連星」の質量は各々太陽質量とすると、「車輪」の総質量は太陽の16倍となる。

 5)では車軸が「空の4分の1を占める」としている。視直径にして天球の4分の1=45度と仮定すると、「車軸」重心から約5億3千万キロ(約3.6AU)、「車軸」の半径が太陽(約70万キロ)の300倍=2億1千万キロ(1.4AU)なので、「車軸」表面からの高度は約3億2千万キロ(約2.2AU)となる。

 5)に厳密に従うと、ここからさらに5年をかけて近日点に接近するのだが、これほど近い位置から5年もかかるとは信じがたい。仮に、「車軸」の表面すれすれを近日点とすると、脱出速度は秒速約143キロとなるが、この条件では5)の見え方の地点(3.6AU地点)まで2か月程度で到達してしまう。表面すれすれというのは、いくらなんでも近すぎるし、やはり無理がある。

 仮に5)の見え方の地点を近日点とすると、脱出速度は、前出の式から秒速約89qとなる。

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上記の値はワーローンが「車輪」星系に拘束されないための下限値である。7)の時点(「車軸」がアヴァロンの太陽と同じくらいの大きさに見える距離に達する時点)が近日点通過後15年とすると、「炎の車輪」から300AU程度に到達するには、秒速130キロ程度で近日点を通過する必要がある。このときのワーローンの軌道は、「車輪」近傍でわずかに曲がるが、その前後はほとんど直線状の経路となる。

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