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zoom RSS 火星三部作(Red,Green,Blue Mars) ※随時更新

<<   作成日時 : 2012/12/22 00:52   >>

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 Red Mars,Green Mars,Blue Marsは、キム・スタンリー・ロビンソン(Kim Stanley Robinson)の火星テラフォーミングを題材としたSF三部作で、「レッド・マーズ」、「グリーン・マーズ」は邦訳され創元SF文庫に収録されている。

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 読んだのは邦訳版のみだが、重厚なドラマと情報量に圧倒される。 

 物語は2026年、「最初の百人」による入植から始まる。その後、地球との往来拠点の建設、さらなる入植、火星自治を目指す戦いなどを織り交ぜながら、ゆっくりと変貌していく火星世界が描かれていく。最初の入植に使われる巨大宇宙船「アレス」、軌道エレベーターの建設と崩壊、太陽光を増幅するための「ソレッタ」といった小道具大道具がこれでもかと盛り込まれ、それだけでも楽しめるが、火星地表のち密な描写や、要所でドラマに絡んでくるテラフォーミングの過程などが興味深い。

 「Red Mars」は1993年1月、「Blue Mars」は1996年6月に出版された。「キュリオシティ」やマーズ・リコネッサンス・オービターなど、最近でこそ切れ目のない火星探査が行われているが、1974年、バイキング計画による着陸探査以降、1997年7月のマーズ・パスファインダー(MPF)の着陸までは実に20年のブランクがあった。バイキング計画までの成果のみによって、これだけの詳細な描写がなされていることに驚く。なお、邦訳「レッド・マーズ」が出版された98年には、すでにMPFやマーズグローバルサーベイヤー(MGS)による詳細な観測データが紹介されていた。

 テラフォーミングが重要な要素となっている場面の中でも、特に読んでいて鳥肌が立った「グリーン・マーズ」の一場面を記しておく。イシディス低地に築かれた気密都市「バロゥズ」は、北方で次第に拡大する凍った海から堤防で守られており、独立を求める火星市民グループと、バロゥズの国連治安部隊の衝突により、その堤防が破壊されるところから始まる一連の場面である。(通して読まないと伝わらないと思いますが)

「アホどもがっ」ナディアは激しく首を振って、頭をはっきりさせようとした。「何か手を打たなくちゃいけないんだよっ」必死になって考える。「メサの頂上は洪水より高くなるだけの高度があるかい」
「しばらくのあいだは。だがバロゥズは、あの小さな盆地では一番低いところにある。(中略)だめだ。メサの頂上も沈むだろう。どれくらいの時間がかかるかは、はっきりわからない。(中略)かなり早い可能性もある」タイピングが終わる前に、囁き声で言った。「もし溶けた水の溜め池が充分に大きければ」
「大きいと仮定しなければいけない。」
サックスはうなづいた。
二人はそこにならんですわりこみ、サックスのAIを見つめた。

サックスがおずおずと言った。
「ダ・ヴィンチで作業を進めていたとき、可能性のあるシナリオを全部考えようとやってみた。(中略)都市が破壊される。テントということもありえるだろうと思った。あるいは火事とか」
「で」そう言って、サックスの顔を見る。
「ある実験を考えた。―――計画をだ」
「どんな」平静な声で訊く。
 が、サックスは最新の気象情報のようなものを読んでいた。(中略)辛抱強く相手を待ち、サックスがAIから顔を上げたので、言ってみた。
「で」
「高気圧が一つ、クサンテからシルティスに降りてきている。明日、今日にもここに来てるはずだ。イシディス平原の上で、気圧は約三百四十ヘクトパスカルになるだろう。大まかに言って、その四十五パーセントが窒素、四十パーセントが酸素、それに十五パーセントの二酸化炭素―――」
「サックス、天気なんかどうでもいいんだよ」
「この大気は呼吸できる」そう言って見つめてくるサックスは例の爬虫類の表情を浮かべていた。あるいは蜥蜴か、竜か、それとも何か人類滅亡後に現れる、真空中で生きていける冷血生物のようだ。


 そしてこの後、人類が初めてヘルメット無しに簡単なマスクのみで火星の大気を呼吸し、気密テントを切り裂いて都市から高地へ逃れる、劇的な脱出行が続く。

■参考リンク

○Mars trilogy(Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Mars_trilogy

○東京創元社
・レッド・マーズ http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488707026
・グリーン・マーズ http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488707040

○Mars trilogy - MangalaWiki
http://www.kimstanleyrobinson.info/w/index.php5?title=Mars_trilogy

○The Red, Green& Blue MarsSite
http://fwb.home.xs4all.nl/rgbmars.html
作中の火星の地図など

○洋々亭 45歳からのペーパーバック 読むだけ英語党宣言
http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/PaperBacks/paperbacks01.htm
レッド・マーズ、グリーン・マーズ、ブルー・マーズ
http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/PaperBacks/Tri-Mars.htm
レビューの中で、私が作ったCG(http://www.geocities.co.jp/masapavilion3/planet/above_marineris.htm)を紹介してくださった。



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