MASA Planetary Log

アクセスカウンタ

zoom RSS 冥王星から見た太陽

<<   作成日時 : 2015/08/12 12:55   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 当ブログへは、様々なキーワードによる検索ページからのアクセスがあるが、その中に「冥王星から見た太陽」というのがちらほらあった。たいてい「冥王星の地表の明るさは」につながっているのだが、同記事は太陽の見え方について書いているわけではない。じゃあ実際太陽はどのように見えるかについて興味を覚え、国立天文台の天文シミュレーター「Mitaka」で調べてみることにした。

 地球から見るのに比べ小さく暗いというのは調べるまでもないのだが、考えているうちに、太陽の天球上の動き、ひいては、冥王星の暦はどうなるのかということが気になりだした。きっかけは、ロバート・ズブリンの著書「マーズ・ダイレクト」で提案されている火星の暦。火星の1年は地球の約2倍で、自転周期は地球よりわずかに長い。「マーズ・ダイレクト」の中では、天球上で太陽が横切る星座の名前で「1年」を区分する暦が提案されている。

 とっかかりとして、冥王星が発見されてから1公転周期、つまり247年と270日間に、冥王星から見て太陽が天球上を動いていく様を追ってみた。初期設定を1930年1月23日(小惑星センターの一覧での冥王星の発見日)とし、1か月ごとの太陽の動きを追った。節目節目では、適宜年月日を調整した。

 以下、節目の画像(と言ってもかなりあるが)について列記する。なお、太陽が星座の領域をまたぐ日は厳密に確認していない。

1)1930年1月23日
 クライド・トンボ―が2月18日に冥王星に気付いた2枚の写真乾板のうち、最初のほうが撮影された日。太陽は、いて座の領域にある。
 この年、ロンドン海軍軍縮会議。ガンジーによる不服従運動。
画像


2)1937年8月23日
 このころ太陽は、やぎ座の領域に入っている。
 この年、盧溝橋事件が起こり、日中全面戦争に突入する。第二次世界大戦は、太陽がやぎ座の領域にいる間のできごと。
画像


3)1954年1月23日
 このころ、太陽はみずがめ座の領域に入っている。
 この年、「保安隊」が改組され自衛隊が発足。映画「ゴジラ」公開。
画像


4)1969年1月23日
 このころ、太陽はくじら座の領域に入る。
 この年、原子力船「むつ」進水。日産フェアレディZ発売。宇宙開発事業団発足。そして、アポロ11号月面着陸。(※順不同)
 当たり前の話だが、冥王星の交点面は17度傾いているため、天球上の太陽の経路は地球から見たそれと大きく異なる。地球の黄道12宮に無い星座を太陽がわたっていくのはエキゾチックだ。地球から見た太陽は、くじら座の北の角をかすめつつ、うお座をわたっていく。1960年に行われた地球外文明からの通信を電波望遠鏡で傍受すべく行われた「オズマ計画」のターゲットの一つが、くじら座タウ星だった。くじら座タウ星は、星野之宣のSF漫画「2001夜物語」の主要エピソードの舞台にもなっている。くじら座タウ星には、現在、地球質量の2〜6倍程度の5つの惑星と、中心星から30〜50AUの距離に広がるエッジワースカイパーベルトに似た塵の帯が見つかっている。

画像


5)1972年7月23日
 太陽はくじら座の領域にいる。
 この年3月2日、パイオニア10号が打ち上げられ、外惑星探査ラッシュが始まる。1973年4月6日には同11号が打ち上げ。
画像



6)1977年9月23日
 太陽はくじら座の領域にいる。
 1973年12月4日に木星フライバイを行ったパイオニア10号は太陽系外に向かっている。翌1974年12月4日に木星フライバイを行ったパイオニア11号は土星への途上にある。
 そして1977年(画像の年)8月20日にボイジャー2号、9月5日に同1号が打ち上げられ、木星に向かって飛行している。「太陽系グランドツアー」(当初より縮小されてはいるが)が幕を開けた。
 なお、この画像で冥王星像の少し左、星座名テキスト「くじら座」の「ら」の字の直下にある白い点が、くじら座タウ星。
画像



7)1978年4月23日
 太陽はくじら座の領域にいる。
 この年、1978年6月22日、冥王星の衛星カロンが発見された。
画像



8)1979年11月23日
 太陽はくじら座の領域にいる。
 この年、3月5日にボイジャー1号、8月25日には同2号が相次いで木星フライバイ。9月1日にはパイオニア11号が土星フライバイを行い、太陽系外に向かった。
画像



9)1981年11月23日
 太陽はくじら座の領域にいる。
 ボイジャー1号は前年1980年11月12日に土星の南極を回って太陽系北方へ向かった。これによりボイジャーによる冥王星探査の機会は失われた。81年8月25日にはボイジャー2号が土星フライバイを行い、天王星へ向かっている。
画像



10)1983年1月23年
 太陽はくじら座の領域にいる。
 外惑星を探査した4機の探査機がそれぞれの方角へ飛行している。冥王星発見から53年。
画像



11)1986年11月23日
 太陽はくじら座の領域、エリダヌス座が張り出した部分の近くにいる。この年の1月24日、ボイジャー2号は、くじら座の南の端にいる天王星をフライバイし、海王星に向かった。
 この年の1月28日、スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故発生。スペースシャトルから打ち上げ予定だった木星周回探査機ガリレオは、同年5月に予定されていた打ち上げがキャンセルされただけでなく、打ち上げに使用するロケットが安全上の理由から変更(縮小)されたことにより、それを補うための複雑な重力アシスト飛行を強いられることとなる。
 太陽はエリダヌス座の領域には入らないが、エリダヌス座イプシロン星は先の「オズマ計画」のターゲットの一つ。現在では、中心星からそれぞれ3AUと20AUの距離に小惑星帯ないしはエッジワースカイパーベルト相当の領域、近点距離2.4AU、遠点距離5.3AUの細長い軌道を持つ木星サイズの惑星が観測されている。
画像



12)1990年1月23日
 冥王星発見から60年。太陽はくじら座の東の端にいる(画面外)。
 ボイジャー2号は画像の5か月前の1989年8月25日、海王星をフライバイして太陽系の南方に向かった。
 太陽がくじら座の領域にいる間に、初期の外惑星探査機の4機すべてが地球を飛び立ち、去っていった。冥王星はそれらすべてをここから見ていた。考えてみれば当たり前の話なのだが、冥王星から見るその光景は衝撃的だった。
 この約2か月後の1989年10月18日、木星周回探査機ガリレオがスペースシャトル・アトランティスから打ち上げられ、木星への6年の飛行を開始した。
 この画像の直後、2月10日には金星スウィングバイ、12月8日には第1回地球スウィングバイを行った。
 また、1990年4月にはハッブル宇宙望遠鏡がスペースシャトル・ディスカバリーにより打ち上げられた。
画像



13)1991年12月23日
 太陽はおうし座の領域に入っている。
 木星探査機ガリレオは、この年の4月11日、高利得アンテナが展開できないことがわかり、以後、低利得アンテナでの低速の通信を強いられる。1990年7月1日発行の「最新太陽系論(学研)」の記事では、「ボイジャーは1分間に1枚の割合で撮影したが、ガリレオは2・3秒に1枚の写真撮影が可能である。(中略)そして、マシンガンを撃つように連続撮影された映像をつなぎ合わせれば、これまでのような静止映像ではなく、普通の記録映画にすることもできよう」と述べられていたのだが、主アンテナの故障による通信速度の制約もあってか、ついにそうした動画が作られることはなかった(このような動画は、土星探査機カッシーニで実現した)。
 ガリレオは10月29日、小惑星ガスプラの接近観測を行い、史上初めて小惑星の画像を送ってきた。同年12月8日(この画像の直前)、第2回地球スウィングバイを行った。
 なお、画像の翌年、1992年8月30日に、はじめての太陽系外縁天体となる1992QB1が発見された。また、同年、おとめ座に位置するパルサー(高速回転する中性子星)PSR J1300+1240に、史上初めての太陽系外惑星となる2つの惑星が発見された。このころから、太陽系や惑星系に対するイメージは劇的な変化を遂げていく。
画像



14)1995年12月23日
 太陽はおうし座の領域にいる。
 ガリレオは1993年8月28日に小惑星イダに接近観測を行い、史上初めて、小惑星を周回する衛星ダクティルを発見した。
 1994年7月21日には、シューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突する様子を観測した。このとき、ガリレオは木星軌道に向かって最後の登攀の途上にあり、後方から追いついてくる木星を振り返る形となった。
 そして、この画像の年、1995年7月13日にプローブを切り離し、12月7日にはプローブが木星大気へ突入して観測を行うとともに、ガリレオ本体は木星周回軌道に入った。
 なお、同じ1995年10月6日、ペガスス座51番星の至近距離を周回する木星クラスの惑星(「ホット・ジュピター」)が初めて発見された。ペガスス座51番星はG3型の主系列星であり、「ふつうの星」を周回するものとしては初めての系外惑星の発見となった。同時に、太陽系外惑星の驚くべき多様な姿が明らかになり始める。
 つづく1996年、ハッブル宇宙望遠鏡の微光天体カメラの画像に基づく冥王星とカロンの初めての地表図が発表された。
画像


15)2000年12月23日
 20世紀終わりの年。冥王星発見から70年。太陽はオリオン座の領域に入っている。これも地球の黄道12宮にはないが、なじみ深い星座でもあり、新鮮な感じがする。
 画像では、土星探査機カッシーニの軌道が描かれている。
 カッシーニは1997年10月15日に打ち上げられ、1998年4月26日と1999年6月24日に金星、同年8月18日に地球、そして2000年12月30日に木星でスウィングバイを行って増速し、土星へ向かった。
 また、ハワイ島マウナケア山に建設された日本のすばる望遠鏡が1999年1月、ファーストライトを迎えた。同年6月、冥王星とカロンの像を分離して撮影するとともに、初めてカロン単独の赤外線スペクトルの観測に成功した。
画像



16)2004年6月23日
 太陽はオリオン座の北の端を動いている。
 画像の直後、6月30日にカッシーニは土星軌道に入り、12月24日に最大の衛星タイタンに向かって着陸探査機ホイヘンスを放出。ホイヘンスは翌2005年1月14日にタイタン着陸を果たした。
 前年の2003年9月21日、姿勢制御用燃料を使い果たしたガリレオは木星に落下させられ、ミッションを終えた。
 発見が相次いでいた太陽系外縁天体は、2002年10月7日にクワオアー(直径890q)、2003年11月14日にはセドナ(直径995q)、そして2005年7月29日にはエリス(直径2326q)と、冥王星の直径2320q(ただし当時の推定)に匹敵する天体が相次いで報告された。
 2005年には冥王星の衛星ニクスとヒドラが発見された。
 1998年に打ち上げられた日本の火星探査機のぞみは、数々のトラブルに見舞われたのち、火星を目前にして2003年12月に運用を終了した。また、同年5月には工学実験探査機はやぶさが打ち上げられ、2005年9月に小惑星イトカワへのランデブーと離着陸を果たした。
画像



17)2007年1月23日
 冥王星発見から77年。太陽はふたたびおうし座の領域にいる。
 この画像の1年前、2006年1月19日に冥王星探査機ニュー・ホライズンズが打ち上げられ、2007年2月28日の木星スウィングバイを直前に控えている。
 これに先立つ2006年8月14日、国際天文学連合の総会で惑星の定義が見直され、冥王星は準惑星(dwarf planet)に再分類された。
画像



18)2008年1月23日
 太陽はふたたびオリオン座の領域にいる。
 カッシーニは4年の当初ミッションを順調に遂行し、2008年4月15日、ミッションの延長が決定された。
 ニュー・ホライズンズは、2008年6月8日に土星軌道を通過した。
画像



19)2011年1月23日
 太陽はふたご座の領域に入った。
 この年、冥王星の衛星ケルベロスが、翌2012年にはステュクスが発見された
 ニュー・ホライズンズは、画像の時点の直後、3月18日に天王星軌道を、2014年8月25日には海王星軌道を通過することになる。
 これに先立つ2010年6月、はやぶさのカプセルが地球に帰還し、本体は大気上層で燃え尽きた。
画像



20)2015年7月14日
 太陽はふたご座の領域にいる。
 冥王星探査機ニュー・ホライズンズがついに冥王星の接近観測を果たした。この画像に使われている冥王星とカロンの地表テクスチャも、ニュー・ホライズンズの観測に基づくもの。
画像


21)2016年1月23日
 冥王星発見から86年。太陽はふたご座の領域にいる。
 ニュー・ホライズンズの軌跡は冥王星の公転軌道上、後方に流れ去っている。
 ここからは未来の出来事となる。このあと、冥王星に探査機が訪れるのは、いつのことだろうか。
画像



22)2023年1月23日
 冥王星発見から93年。太陽は、かに座の領域に入っている。
画像



22)2034年2月23日
 冥王星発見から104年。太陽は、しし座の領域に入っている。
画像



24)2063年1月23日
 冥王星発見から133年。太陽は、しし座の領域を30年かけて横断した後、かみのけ座の領域に入っている。
画像



25)2073年1月23日
 冥王星発見から143年。太陽は、おとめ座の領域に入っている。
画像



26)2086年12月23日
 冥王星発見から157年。太陽は、うしかい座の隅を横切っている。
画像



27)2089年12月23日
 冥王星発見から160年。太陽はふたたび、おとめ座の領域に入る。
画像


28)2112年1月23日
 冥王星発見から182年。太陽は、てんびん座の領域に入る。
画像



29)2115年1月23日
 冥王星発見から185年、ニュー・ホライズンズのフライバイから100年。太陽は、へび座の隅を横切っている。
画像



30)2121年1月23日
 冥王星発見から191年。太陽はふたたび、てんびん座の領域に入っている。
画像



31)2130年1月23日
 冥王星発見から200年。太陽は、てんびん座の北の端をかすめたあと、へびつかい座の領域に入っている。
 ちなみに、小松左京「さよならジュピター」で、太陽への衝突コースに乗っている小型ブラックホールが発見されるのは2125年。
画像



32)2134年1月23日
 冥王星発見から204年。太陽はさそり座の北の隅に入っている。
画像



33)2136年1月23日
 冥王星発見から206年。太陽はふたたびへびつかい座の領域に入っている。
画像



34)2151年1月23日
 冥王星発見から221年。太陽は、長くとぐろを巻くへび座の領域に再び入っている。
画像



35)2156年9月23日
 冥王星発見から226年。太陽は、へび座、へびつかい座、いて座の境界付近にいる。
画像



36)2157年12月23日
 そして冥王星発見から227年。太陽は、ついにいて座の領域に戻ってきた。
画像



37)2177年10月20日
 冥王星発見から247年。冥王星は、ようやく公転軌道を一回りし、太陽は元の位置に戻ってきた。
 ここまで書いていて、「冥王星発見から○○年」というのが、冥王星暦になるのかな、などと妄想した。
 なお、宇宙戦艦ヤマトの旅立ちまで、まだ22年を残している。

画像


上記文中のデータは、Wikipedia日本語版、英語版、Hubble Site、国立天文台すばる望遠鏡サイトなどから。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
冥王星から見た太陽 MASA Planetary Log/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる