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zoom RSS 冥王星基地の場所〜「宇宙戦艦ヤマト2199第二章」

<<   作成日時 : 2016/01/02 00:51   >>

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「宇宙戦艦ヤマト2199」でのガミラス軍の冥王星基地の描写を見ると、空にカロンが浮かんでいる。

冥王星-カロン系は、自転周期と公転周期が約6.4日で同期しており、冥王星とカロンは互いに同じ半球を向け合ったまま回りあっている。このため、ガミラス基地から見えるカロンは、空の同じ位置に浮かんだまま動かないはずである。また、ガミラス基地でのカロンの見え方から、冥王星上の基地の場所を推定することができる。

冥王星のカロンと正対した地点は赤道上の、経度0°の地点である。この地点に立つと、カロンは常に真上に見える。この点から離れるにしたがってカロンの高度は下がっていき、冥王星のカロン側半球の縁辺で地平線に沈む。

図1は、作中でガミラス基地の背後にカロンが浮かんでいる描写の略図である。この光景から、カロンの地平線高度を算出してみる。

とりあえず、2つの方法で算出してみた。

ひとつは、シーンの画角を仮定して、これと画面上のカロン像と地平線の距離から高度を推定する方法。もうひとつは、画面上のカロン像の直径と実際のカロンの視直径から地平線高度を求める方法。二つ目の方法が素直ではあるが、往々にして視直径は誇張して描かれるので、複数の方法で計算してみることにした。




まず、シーンの画角から推定してみる。

シーンは比較的広角に見えるので、焦点距離28mmまたは35mmレンズ(35oフィルム換算)で撮影したと仮定し、対角線画角をそれぞれ74°、62°とした。画面の縦横比を16:9とすると、画面縦方向の画角は36.3°または30.4°となる。オートシェイプで作図した画面縦方向の寸法(ピクセル数で測ればもっと正確なのだろうが)が18.31cm、カロン像中心と地平線の距離が10.03cmであることから、地平線高度はそれぞれ19.9°、16.7°となる。

次に、カロンの視直径から推定してみる。

カロンの軌道長半径が19,570km、冥王星の半径が1,185q、カロンの直径が1,208kmとすると、観測点からカロンまでの距離は、カロン直下地点で18,385km、カロン側半球の縁辺部で19,606km程度となり、視直径はそれぞれ3.76°と3.53°となる。ここでは、3.6°とする。

ガミラス基地のシーンでのカロン像の直径が3.41cm、カロン像中心と地平線の距離は前述のとおり10.03cmであるため、地平線高度は10.3°となる。おおまかに言うと10〜20°の範囲である。

カロンの地平線高度が上記の3ケースとなるような地点の、カロン直下点からの距離角(子午線上なら緯度、赤道上なら経度に相当)は、それぞれ66.9°、69.9°、76.8°、おおまかに67°〜77°の範囲となる。

上記を、冥王星の地図にプロットしてみる。



図2は、ニュー・ホライズンズの観測に基づいて作られた冥王星の「世界地図」である。地域の分類と仮の地名が書き込まれている。経度は東回りに0〜360度になっていて、図の左端が経度0°、中央が経度180°となっている。カロンが見えるのは経度270°〜0°〜90°の半球である。ハート模様で有名になったスプートニク平原をはじめ、ニュー・ホライズンズが最接近したときに面していた地域は全てカロンが見えない半球にある。

先に求めた、カロンが高度10〜20°で見える地域は、当然ながらカロンに面した半球にあるため、図2ではオレンジ色のリング状の範囲となる。残念ながら、高解像度で撮影された地域は含まれていないことがわかる。

図3は、同じ領域を半球図に投影したもの。



次に、作中の時期の冥王星系の様子を確認してみる。

図4は、作中の作戦会議で使われる冥王星系の図を略記したもの。衛星群の軌道を見下ろした形となっている。



衛星の運動方向が反時計回りになっていることから、北極方向から見下ろしたものであることがわかる。中央に描かれている冥王星は、北半球が見えていることになる。

ヤマトと航空隊はカロンの反対側(冥王星の経度180°を含む半球)から接近し、航空隊はさらにヒドラ、ニクス、カロンを回り込みヤマトと反対側(経度0°を含む半球)から降下する。

作中ではこの時点でガミラス基地の位置は不明と言うことになっているが、視聴者は「カロンが見える」という情報から、航空隊がガミラス基地がある半球から接近したことを知ることになる。

図5は、作中の冥王星系を国立天文台の天文シミュレーター「Mitaka」で再現したものである。作中の「メ2号作戦」が行われた日付は明らかになっていないが、2月15日から16日に行われたという分析がされているようなので、ここでは2月15日の冥王星を再現した。



実は、この時代、冥王星系は南半球を太陽に向けている。冥王星の赤道傾斜角は約120°で、自転軸は公転軌道面に対してほぼ横倒しになっている。このため、約248年の公転周期のうち2回、ほとんど片方の半球のみに太陽光があたる時期がある。2015年現在、冥王星は主として北半球に太陽光が当たっており、南半球は闇に包まれている。図2の地図で南半球が黒くつぶれているのは、観測時に太陽光が当たっていなかったため、地表を観測できなかったからである。「2199」の時代は、逆に、もっぱら南半球だけに太陽光が当たっている。

図5は、冥王星系の太陽光が当たっている南極方向から描いたものであるため、衛星の公転方向が図4と異なり、時計回りとなっている。図4とはちょうど裏返しとなっている。

その他、冥王星軌道を基準としてみると、衛星の位置関係がかなり異なる。カロンは図4とはほぼ90°離れた位置にある。カロンの公転周期は約6.4日なので、カロンが作中のような位置に来るのは2月17日である。また、カロンに対するニクス、ヒドラに対する位置も異なる。もっとも、これら小衛星の軌道要素は不確定性が高いだろうから、作戦期日の不確定性も考慮すると、作中と同じような位置関係になる可能性も否定できない。

図5では、とりあえずこの時点のカロンの位置に基づいて、ヤマトと航空隊の進入経路を付記した。

なお、メ2号作戦を描いた「2199」第2章は2012年6月末からイベント上映が行われたが、スティクスとケルベロスは登場していない。スティクスは2011年7月、ケルベロスは2012年7月に発見が報告され、2013年7月に命名された。

図6は、図5のカロン付近から冥王星を見た図、図7は冥王星のクローズアップである。夜側の地表の様子も見えるよう明るさを加工してある。作中で航空隊が見たはずの光景に近い視点となっている。作中では、カロンを左に見ながら冥王星へ降下していくので、太陽南極を上にとった構図となっているようだが、図6、図7では、太陽北極を上にとっている。





図6、図7では、自転軸を表示させてある。南半球の大半に太陽光が当たり、逆に北半球の大半は夜になっている。「2199」作中では、航空隊のアルファ隊が北半球、ブラボー隊が南半球を受け持つことになっている。したがって、この時期の冥王星では、アルファ隊が夜側、ブラボー隊が昼側を受け持つことになる。

図6、図7を見ると、太陽光が当たっている南半球に地表の模様がない。これは、前述のとおり、ニュー・ホライズンズ接近時には闇に包まれており観測できなかったためである。「2199」作中、何度か冥王星の遠望が出てくるが、これらは主に南半球と考えられる。2015年のニュー・ホライズンズの接近観測を経てもなお、この半球は空想の域を出ていない。ニュー・ホライズンズは、カロンの「月明かり」を用いて、冥王星の闇の領域の撮像も試みるとされていたが、この文章を書いている時点では結果が公表されておらず、依然として闇に包まれたままである。

また、作中の描写と大きく異なるのは、カロンと冥王星が半月上に見える点である。2199年の位置関係では、、カロンが冥王星の昼側上空を通過することはないので、冥王星が満月上に見えることはない。

図8は、図6、図7とは反対側から冥王星、カロンを見た図である。「2199」作中でヤマトが降下したルート上から見た角度に近い。



作中では、ヤマトは反射衛星砲による攻撃を受け、冥王星の夜側に不時着している。図8では、「ハート型」ことスプートニク平原が見えている。ヤマトは、これらニュー・ホライズンズが詳細に観測した地域を眼下に見ながら降下したのかもしれない。

ガミラス基地は、作中の描写を見る限り、夜側にあるようである。

一方、ヤマトが浮上後に発射した三式弾が画面右から左に飛行しているシーンで、背景の低い位置にカロンが見える。三式弾は、カロンを右手の地平線上に見ながら飛行していることになる。このことから、三式弾の弾道はカロンが見える半球の縁辺に沿っていることがわかる。また、ガミラス基地でカロンが低く見え、三式弾の弾道上でも低く見え、三式弾の弾道は冥王星の地表に沿って直線状であることから、ヤマトが不時着した地点も、カロンが低く見える地域からさほど離れていないと推測される。

図9は、図3に、図5〜図8のおおよその明暗の情報と、上記位置情報を付加したものである。半球図の青い部分が夜側である。



ヤマトの不時着地点からガミラス基地までの距離は不明だが、基地の隠ぺいにオーロラを使っていることがヒントなのかもしれない。2015年現在、冥王星にはオーロラを発生させるほどの磁場は観測されておらず、また、ガミラスフォーミングの仮定で発生したとしても自転軸付近に磁極がある必然性はないが、古代も山本もオーロラそのものにさほど違和感を感じていなかったようなので、地球のオーロラからの連想で、高緯度地帯で目撃したと言うことなのかもしれない。

また、この時代、冥王星の北半球が常に闇に包まれていることを考えれば、前線基地を隠匿するのに適した立地なのかもしれない(もっとも、常にカロンの「月明かり」を浴びている半球ではあるが)。

もしガミラス基地が冥王星の北極周辺にあったとすると、敗走するシュルツらの艦船は、太陽系の外側に向かって逃げて行ったことになる。別記事で整理したように、ガミラス本星がある大マゼラン雲は太陽南極方向にあるので、直接そちらに向かう経路になっていないのだが、シュルツらは、このあとグリーゼ581星系でヤマトを迎え撃つことになるため、さほど問題にならないのかもしれない。

ヤマトの飛行経路については、別記事(http://masamich.at.webry.info/201212/article_2.html)で整理した。

ガミラス基地殲滅後、ヤマトは昼側の氷原の上を飛行しながら古代らを収容している。

ところで、「2199」作中の太陽系のシーンは、総じて照明があいまいなのが少し残念に思う。天体が画面に現れるときはほとんど正面から太陽光が当たった満月状で、半月上、三日月状のように陰影のついた位相はほとんどない。天体地表でも、あまり明確な陰影がつけられていない。大気の無い天体上では、鋭い明暗のコントラストがひとつの特徴なので、この辺りがもう少しリアルに描かれていれば、と思う。

■参考リンク
気になる○○教えます〜デジカメの「しくみ」
第19回 :カメラレンズと焦点距離、画角
http://aska-sg.net/shikumi/019-20060201.html

keywords:"Star Blazers 2199", Pluto, Charon


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(C)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会/提供バンダイチャンネル大塚芳忠小川真司土田大宮本


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