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zoom RSS 火星の重力を映像で再現できるか 映画「オデッセイ」(The Martian)の参考

<<   作成日時 : 2016/03/09 00:12   >>

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 火星の重力は0.38G、地球の約1/3で、当然、物の落ち方もゆっくりになる。が、その他の動き、たとえば腕や足の動きなどは制約を受けないので、単なるスローモーションともまた違う。

 低重力下の動きの映像化の手法としては、過去に「From the Earth to the Moon」(人類、月に立つ)で、ヘリウム風船で体重を相殺する方法が用いられており、かなりリアルだった。火星の基地内部のシーンで、宇宙服を着ていないワトニーの動きを再現するのは、これよりは難しいだろうが、見てみたかったところではある。

 映画「オデッセイ」の中では、必要を感じなかったという理由で、火星の低重力は、さっぱり再現されていない。しかし、本当に不要だろうか? ワトニーが取り残されたのは、別の惑星の上であって、赤茶けた、空気が薄いだけの地球ではない。低重力での人物などの動きを再現できたとして、観客は見慣れない挙動に集中力をそがれるかもしれない。しかし、映画も終盤ともなれば、そうした火星上での挙動に慣れ、むしろ異質な惑星でのサバイバルがいかに困難か、肌身で感じることができたのではないかと思う。こういう、想像力で補うのが難しく、映像化に金がかかる事象こそ、特撮で頑張ってほしかったところだ。

 それはさておき、低重力の再現について、調べてみる。


■実験映像など

1)Walking on Mars
https://www.youtube.com/watch?v=LvnDIDqcfGI
画像


 ニューメキシコ州立大学の実験映像。

 背後の装置からアームで支えられた背負子のようなものにより、火星重力下での歩行をシミュレートしている。

 おそらく、被験者はよくわかるのだろうが、周囲から見ている限りは、機器にぶら下がっている様子の方が印象的で、低重力の効果が視覚的にわかりにくい。


2)NASAによる月面重力の実験映像 地球重力との比較
SIMULATED GRAVITY.flv
https://www.youtube.com/watch?v=alXPrrEUcEY
画像

これは火星ではなく、月面での動きのシミュレーションである。
被験者を地面から角度をつけてつるすことで、横向きになった仮想の地面の上での動きをシミュレートしている。


3)航空機を使った低重力体験
Parabolic flight: Mars gravity
https://www.youtube.com/watch?v=P6D4srLOGb0
画像


Simulated Mars Gravity
https://www.youtube.com/watch?v=Abj4o5TFYBU
画像


エンジン出力をカットして放物線飛行する航空機の内部で、宇宙飛行士が無重力の訓練を行うのは有名だが、これは、同様の飛行により、低重力を再現する体験飛行の様子。
無重力の場合は、航空機を自由落下状態にするところ、低重力の場合は、多少エンジンで踏ん張って重力加速度を残すのだろう。

動画では、秒数も短く、また機内にいる人の数が多すぎて、火星重力下での挙動がよくわからないのが残念。宙返りなどしているが、0.38Gだと、そこまでできるのかと、にわかに信じがたい。
が、この方法なら、火星のハブ内の主要なシーンで、火星の低重力を映像化できそうだ。


■映像作品の中での低重力の表現

1)A walk on Mars
BBCのドキュメンタリー「Space Odyssey: Voyage To The Planets」は、架空の有人惑星探査ミッションを描いた作品。標題の動画は、この作品から、火星探査のシーンを抜き出して構成したもののようだ。
https://www.youtube.com/watch?v=wwjUb4urJdQ
画像

宇宙飛行士が歩行ではなく、いちいちジャンプで歩行しているあたりに、低重力の表現が見られる。重力が小さいと歩行の時に踏ん張りが効かないので、歩幅や関節の動きが小さくなる。これだと歩幅が稼げないからなのか、ジャンプの方が移動効率がよくなる、という理屈だったように思う。

火星の景色も、冒頭は若干急峻すぎる気がするが、比較的平坦な土地に大小の岩が散乱しているなど、映画「オデッセイ」に比べても、こちらの方が、より実際の火星の地表の雰囲気が出ているように思う。さすがはBBCと言える仕上がりだと思う。

2)テレビシリーズ「From the Earth to the Moon」
月面での低重力を表現するためにヘリウム風船を使って撮影された「From the Earth to the Moon」のメイキング動画。3分あたりで、飛行士の頭上に黒く巨大なヘリウム風船が浮かんでいるのが見える。同作品では、月面の強烈な日差しを再現するための光源なども工夫しており、月面のシーンはさほど多くないにもかかわらず非常にこだわって作りこまれていた。
https://www.youtube.com/watch?v=M2cGwUnOL7E&index=5&list=PL9myac9mW2835Rnhnjnv7rl96IdN3Jz88
画像


■その他(2016..3.11追記)
映像作品と言えば、最近ではやはりこれだろう。

OK Go - Upside Down & Inside Out
https://www.youtube.com/watch?v=LWGJA9i18Co
画像


Upside Down & Inside Out: Behind the Scene
https://www.youtube.com/watch?v=XHFT5jkOmJ0
画像


OK Go - Upside Down & Inside Out - Behind the Scenes: Thunderdome Reel
https://www.youtube.com/watch?v=WJCgfi9uAts
画像


動画の中盤、人物は浮遊しているが、ボールは床に溜まっている場面があり、完全な無重力ではなく微小重力であることがわかる。きょう日、ミュージックビデオですら微小重力撮影をやるのだから、映画でも要所で取り入れて欲しかった気はする。



※この記事は、元記事からカテゴリを分離して作成しました。
元記事
http://masamich.at.webry.info/201602/article_1.html

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内 容 ニックネーム/日時
2001年宇宙の旅で50年前に撮影されたとは思えないほど無重力状態を表現してた完璧主義者のキューブリックもは月の低重力は表現できなかった(無視してたのかな?)
アポロ13やゼロ・グラビティ無重力を描いてるものは進化しているのでSFファンとしてはそろそろ低重力の表現に挑戦してくれる映画がみたいですね。
原作ファン
2016/03/31 19:48
原作ファンさま
2001年宇宙の旅での月の重力下の動きはキューブリックの満足のいく完成度で再現できなかったのだと思います。
低重力撮影は、コストを考えると要所をマイクロGフライトでおさえつつ複数の手法で再現するのかな、などと妄想しますが、宇宙映画の新標準となるような映像をぜひ見てみたいですね。
MASA(管理者)
2016/04/01 04:58

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