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zoom RSS 読後雑感〜「リングワールドの子供たち」(ラリィ・ニーヴン)

<<   作成日時 : 2011/12/18 20:07   >>

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★物語の内容に触れている部分があります。

 「リングワールド」シリーズの最新刊。また、完結編かもしれない。

 2作目「リングワールドふたたび」、3作目「リングワールドの玉座」においても、前作までの設定を微妙に改変しているところがあったが、今回は、かなり重要な部分の設定がいくつか改変されている。

 読んでいて一番違和感があったのが、リングワールド系におけるステッピングディスク(跳躍円盤)の使用可能距離か。リングワールドシリーズに限らず、ニーヴンはいわゆるテレポーテーション(ハイパードライヴを含めて)においては、跳躍の前後で実空間におけるエネルギーは保存されると考えていて、たとえば地球の裏側にテレポーテーションすると、出現した瞬間、自転と逆方向に吹っ飛ばされる。また、高所から低所へテレポーテーションすると、位置エネルギーが解放されて加熱される。「ふたたび」では、ステッピングディスクは、送出側と受信側のエネルギーの差をある程度まで吸収できるという設定で、それを超えるような移動を伴う場合は、送出側宇宙船の移動などにより解消させていた。こうした力学的お遊びが面白かったのだが、今作では特に説明がないまま、軽々とリングワールドの弧の反対側や軌道上のディスクまで跳躍している。

 また、ルイスとティーラの息子が登場するが、ティーラの避妊措置が解除されていたことにするのはいいとして、1作目を読む限りでは、ルイスは200歳にして20代の肉体を持っているものの、生殖能力は失っていたはずで、そこもあいまいになっている。

 重力井戸付近でハイパードライブが使用できない理由の改変は、まあクライマックスのための伏線なのだろうが、暗黒物質のあれが、というのは、バクスターのあれに通じるもだけに、今作ではあまり物語りに絡んだ掘り下げがない点が物足りない気がする。

 物語としては、前作「玉座」が(「ふたたび」までで様子がほとんど解明され尽くした)リングワールド上のみだったのに対して、今回は太陽付近から彗星雲まで、リングワールド系全体が舞台となり、躍動感がある。その分、各部の描写が希薄になっているのは少し残念に思う。ラストは、グレッグ・ベアのあれを彷彿とさせるが、そこはニーヴン、ベア流のどろどろした前振りは一切なしに、あっさりやってのけるあたりが、むしろ潔くてよい。

 ルイスがああなったところで、これは破局的結末かもと思ったが、読み終わってみると、まあ続編の余地がないでもないのかもしれない。これだけスケールの大きな世界を描いた作品だけに(石黒耀の「死都日本」を読んだ後なのでよけい期待するのかもしれないが)、いっそリングワールドの崩壊も見てみたい。ニーヴン得意の物理的正確さで、四散するリングワールドと、そこからの脱出劇など描いてほしいとも思う。





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