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zoom RSS 視聴後雑感〜「宇宙戦艦ヤマト2199第一章」

<<   作成日時 : 2012/08/08 23:27   >>

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※内容に触れた部分があります。

 注文していたブルーレイが届きようやく通して観た。

 全体としては、期待を良いほうに大きく裏切る出来栄えだったと思う。旧作をベースに、いろいろな部分をよく練りこんであると感じた。

 2度ほど通してみての感想などをメモしてみたい。(←書いてからアップロードするまでだいぶ時間が空いてしまったが)

■作中の人類の宇宙飛行技術(1)

 敵艦隊に突入するゆきかぜで軍歌?(「銀河航路」)が歌われるのは、古代守に従う隊員たちの覚悟が伝わってくるいい演出だと思うが、恒星間飛行をしない宇宙軍の歌に(アルファ)ケンタウリが詠われているのは、やや違和感がある。実際の飛行能力はどうだろうか。

 地球の艦艇はワープこそできないものの、火星-冥王星間を三週間で翔破できる。火星と冥王星の距離はざっくり40天文単位もあるので、一定の速度で飛んだとしても平均秒速3300qである。仮に中間点を挟んで一様な加減速を行うとした場合、加速度は約0.7G、中間点での速度は秒速約6600qに達する。

 折り返しせず、約0.7Gで6週間加速し続けた場合、終端速度は秒速約2万6000kmで、0.1光速に迫る。最も近い恒星アルファケンタウリは太陽から4.3光年なので、約49年で到達できる。加速時間を延ばすか、同じ推力でペイロードを軽くするかできれば、ますます光速に迫り、もっと短期間で到達できるかもしれない(軽量探査機と強力ブースターを組み合わせる意義については、冥王星探査機ニュー・ホライズンズの例を見ればよい)。作中の人類はワープなしでも恒星に手が届く技術レベルに達しているといえる。

■作中の人類の宇宙飛行技術(2)

 「きりしま」など在来地球艦艇の内部は無重力ということになっているようだが、「ゆきかぜ」のアクロバティックな操艦を見ると、艦内は大変なことになりそうだ。

 なお、「ゆきかぜ」回頭シーンで尾部の突起物先端から姿勢制御ジェットが出ているが、設計として少しデリケートすぎるのではないか。スラスターは船体に設置した方がよいと思う。


■イスカンダル人の宇宙飛行技術

 シェヘラザードは海王星から火星まで、軌道長半径の差で約28AUを10分程度で翔破してしまったようだ。単純計算で光速の23倍にも達する。なお、光速だと4時間程度かかる。これではワープとの棲み分けが全く分からない。

 実写版ヤマトでは、艦隊決戦は火星軌道、イスカンダルシップの墜落は地球、大型ミサイルの出現は地球近傍となっており、距離と速度の問題は大幅に緩和されている。

 この辺は、もう少し設定を練ってもよかったかもしれない。

■惑星間弾道弾(巨大ミサイル)

 惑星間弾道弾を初めてヤマトが視認する際、青空をバックに黒々と描かれている。黒い物体は大気圏外にあれば空の青さに溶け込んで見えないはずなので、大気圏にあることになる。
 件のミサイルは冥王星から地球まで数十時間で到達するのだから、速度は秒速数万キロに達する。40AU、60時間として秒速約2万8000q、0.09光速であり、月軌道(地球38万キロ)で視認したとしても13秒しかない。月軌道のはるか先にいる時点でキャッチしないと手遅れになる。また、それほどの速度で落ちてくるなら、もっと小さな岩の塊でも恐るべき破壊力となる。あれほどの至近距離で破壊されたら、波動防壁で守られたヤマトはともかく、ドック付近にいた人たちはとても助からないだろう。

 実写版では巨大ミサイルは地球近傍に出現し、ヤマトが捕捉するのは1500q先、迎撃は70q程度となっている。距離感のリアルさや撃墜後の迫力は実写版の方が優れていると思う。

 もっとも、惑星間では高速で巡航し、命中精度を高めるため標的付近で減速したのかもしれない。0.1光速で地上の標的をピンポイント爆撃と言えば、「彷徨える艦隊」の「隕石もどき」はそれに近いものがある。



 旧作の場合着弾時期を2199年10月6日とすると、冥王星は地球からみて東の空にある。冥王星からまっすぐ飛んでくるのであれば、日の出とともにヤマト発進、ミサイル撃墜という時系列はおおよそ正しいと思われる。

 図 2199年10月6日早朝の空(「Mitaka」を使用)

画像


 「2199」での弾道については、別記事(http://masamich.at.webry.info/201212/article_2.html)で整理した。

■戦力差

 冥王星会戦ではガ軍と国連宇宙軍の火力があまりにも違いすぎるのだが、それを当然のように受け止めている沖田司令の態度がひっかかる。いくら陽動とはいえ、ここまで無謀な作戦が許されるものだろうか?そのへんの説明が不足しているように思う。2199コミック版や実写版では、こちらの攻撃が通じないことに対する反応がもっと大きい。(その他、コミック版はアニメ版よりもいろいろな点で描写が丁寧と感じる)

 個人的には、もっと互角の戦いでもよいのではないかと思う。そうでないと、第一艦隊壊滅後、ガミラス艦隊が速やかに地球を制圧しなかった理由がわからない。

■その他いろいろ

・国連宇宙軍の所作は海上自衛隊を積極的に模倣しているようだ。軍事色を薄めるために敬礼まで変えた旧作とは大きく異なる。リアル志向自体は好感も覚えるが、せっかくヤマト敬礼を取り入れている海保の潜水士の方々は残念がっていたりして。

・旧作にも似たシーンがあるが、古代たちが乗る偵察機が苦も無く火星大気圏外の「きりしま」とランデブーしている。地球より重力が小さい火星とはいえ、単独で衛星軌道と地表を往復する能力があることに、ちょっと驚く。

・英語字幕では、「メ号作戦」はOperation Mとなっている。メだからMなのかもしれないが、メが冥王星のメならば、Operation Pでもよさそうな気がする。メとPの組み合わせから冥王星=Plutoと敵に察知されないため、あえて日本語名の頭文字にしたんだろうか。

・火星がテラフォーミングされているという設定は、なかなかデリケートである。火星のテラフォーミングには千年単位の時間がかかると考えられているので、現在から200年足らずの作中世界で実現しているとすると、何らかの技術的なブレークスルーを仮定せざるを得ないように思う。旧作とは作中人類の技術的背景が全然違って見える。物語後半の伏線になっているのかもしれないが。

Keywords: "Star blazers 2199"



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
勘助と申します。
たまにお邪魔しています。
いつも素晴らしい考証に脱帽です。
ちょっとだけ記事の参考にさせていただきました。(事後で恐縮です)またお邪魔します〜。
勘助
URL
2014/01/13 09:58
勘助さん
ありがとうございます。ブログ拝見しました。やっぱり、何かしら現実につながるところがあると、ツッコミつつも作品を引き寄せて楽しめますね。
MASA(管理人)
2014/01/14 23:27

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